ウエタニミレイです。
先日、開催したコミュニケーション講座に臨床のドクターが参加してくださいました。
その際にご自身の指導医からの教えをふたつ共有して下さいました。
1つ目は、「前医の悪口を言うな」
患者さんがすでにどこかの医療機関にかかった後に
診察する、ということはままあることです。
受診のタイミングによって患者さんが訴える症状が異なると、
医師が疑う病気が異なる可能性が出てきます。
そうなると必要だと判断する検査や投薬の内容も異なってきて
後から診察する医師の治療が効いたようにみえることもあります。
そんなときに「前医ではどうしてこの検査をしなかったのかな?」という考えが
頭をよぎることもあるのですが、患者さんの前でそれは決して口に出してはいけない、
という意味です。
また、転居やかかりつけの休診日などで
患者さんが他の医療機関に受診するような場合に
「どうしてこんな治療をしているのかな?」という考えが
頭をよぎった時でも同じことです。
診療の場は前医の批評の場ではなく、
これまでのことはそれはそれとして、
これから何をできるかを考える場なのだということを教えているのだと思います。
2つ目は、「受診の是非を問うべきではない」
私自身も経験があるのですが、特に診療が忙しく立て込んでくると
「もっと早く受診していればよかったのに」とか
「どうしてこれぐらいの症状でわざわざ受診するの?」と
感じてしまうようなことがあります。
受診に至るまでにその患者さんなりの事情があるのだから、
受診したこと自体を正しい、間違っていると裁くべきではない、
という意味です。
医学的に疾患の”原因”を考えることは大事ですが、
診療姿勢としては”目の前のこの人のためにこれから何ができるか”と
目的論的に行動することを教えているのだと思います。
競合的とは、相手を「正しい」「正しくない」と裁くこと。
協力的とは、相手を「正しい」「正しい」と裁くのではなく、今、一緒にできることはなんだろうと考えること。
最近では世の中に「コミュニケーション講座」と銘打ったものがあふれています。
言い回しや聴き方などのコミュニケーションのスキルやテクニックを身につけることは意味のないことではないのですが、
どんなに表面的なスキルやテクニックを身につけても
根本的な部分で自分の構え attitude が協力的でないと、
忙しいとか余裕がない状態の時についつい「どうしてこんな治療をしているのかな?」とか
「どうしてこれぐらいの症状で受診したの?」などと
前医や患者さんを裁く競合的な部分が顔を出すかもしれません。
私自身も似たような経験をすることがあります。
私のところで学んで下さる方から、
「これまでに他の講師から学んだことが間違っていることが分かりました」
というようなお話を聞くことがあるのです。
正しいとか間違っているとかの本当のところは分かりませんが、
大切なことは誰が正しいかを決めることではありません。
私が正しいことを証明することでもありません。
その講師に救われたと感じている人もいるのだろうし、
起こることはすべて最善のことだから、
ちょうどいいタイミングで私に出会うことになったのだろうと信じて、
今、目の前にいるこの人とのご縁に感謝して、
これから一緒にできることを考えていきたいのです(*^_^*)
おけいこ♪ おけいこ♪