「もっと楽に、シンプルに、心地良く生きたい」と考えることはありませんか?
前回のブログでは「自分の中の小さなサインに気づくことで、自分らしく生きる一歩を踏み出せる」という話をさせていただきました。
しかし、「本当はこうしたい」という自分の声に気づいても、つい後回しにしてしまうことはよくあります。
「他の人に迷惑がかかるからムリだよね」
「自分の好き勝手に生きるなんてワガママだよね」
「みんなガマンしてるんだから、私もガマンしなきゃ」
「こうしたい」と思っているのに、
どこからか「そんなのダメだよ」と別の声が聞こえてきて、
つい自分の気持ちを押し殺してしまう。
そんな経験はありませんか?
人間の究極目標「所属」
私たちは「今ここ」で欲求を満たすことができれば、快適に生きられます。
でも、現実はそう簡単ではありませんよね。
アドラー心理学では、人間の究極目標を「所属」としています。
所属とは、「ここには自分の居場所がある」「周りの人は仲間だ」と感じられること。
人間は自分の身を守るための硬い皮膚も毛皮も、牙も鋭い爪も持たない代わりに、
集団を作り、協力することで生き延びてきました。
そのため、所属感を得るということは私たちにとって命に関わるほど重要なものなのです。
ちなみに、子どもにとってはお母さんとの間で感じる所属が生命線とも言えます。
もしその感覚が失われてしまうと、命に危険を感じるほどの不安や恐怖を抱えてしまいます。
思考は自分を守るためにある
みなさんは子どもの頃に「泣くんじゃない」とお母さんやお父さんから怒られた経験はありませんか?
泣くことで自分の欲求を表現し満たそうとしたのに否定されることは、
「所属が脅かされている」=「命の危険にさらされている」状態と言えます。
そうすると子どもは、危険を避けるために「泣きたい」欲求を抑えて自分を守ります。
そして自分を納得させるために思考を使って「悲しくても泣かない子は強い子」と説明を作りだします。
このように、私たちは「所属できない」ことを恐れるため、
思考を働かせて欲求を抑えて自分を守るのです。
思考の力を味方に-「健気な自分」を受け入れる
思考を司る前頭葉の発達は人類の進化にとって大きな意味がありました。
思考のおかげで現実に起きていないことでも想像することができたり、
過去を参照して未来を予測することができたりします。
社会を形成して、自然災害と闘いながら、文明を発展させてきたのは、思考の大きな力でもあります。
一方で、自分の身を守るために、思考によって自分の欲求が抑えられることも知っておいてほしいと思います。
ここでのポイントは2つあります。
1つは、自分の欲求を抑える思考は悪者でも敵でもないということです。
「思考で欲求を抑えちゃうのも自分の身を守るためだから、そんな自分も健気でぜんぶOK」なのです。
もう1つは、もしも「なんとなく自分がスムースじゃないな」「もっと楽に、シンプルに生きたいな」と感じることがあれば、そのときは一度立ち止まって自分に向き合ってみるタイミングかもしれないということです。
欲求に気づく日々のおけいこ
では、どうすれば思考の奥にある本当の欲求に気づけるのでしょうか?
おすすめは、日々の中で小さな問いかけを自分にしてみることです。
- 「今、私はどんな気持ちだろう?」
- 「ホントはどうしたい?」
- 「なんとなくモヤモヤするこの感覚は何だろう?」
- 「今の呼吸はどうなっている?」
自分自身に意識を向けることで、少しずつ「自分の本当の声」に気づけるようになります。
自分を大切にする最初のステップ
私たちが心地よく生きるためには、自分の欲求を否定せず、受け入れることが大切です。
思考によって自分を守ってきた「健気な自分」に感謝しつつ、今の自分の本当の気持ちや欲求に耳を傾けてみましょう。
それが「もっと楽に、シンプルに生きる」最初のステップになるかもしれません。
お知らせ
私が主宰するLMTスクール ~自己一致の学校~では、ありのままの自分でいながら社会との関係を結び直していくための学びを提供しています。
今年の6月から第6期を開講予定です。
メルマガにご登録いただくといち早く情報をGETできます。
「自分と向き合うタイミングかも」と感じた方は、ぜひメルマガに登録してみてくださいね。
今日も自分を大切に🍀
支援職のセルフケアをサポートする産業医・公認心理師の上谷実礼でした。