「がんばっていない人を見るとイライラするんです」
カウンセリングの場で、よく聞かれる言葉です。
このフレーズを聞いて、ザワザワした方はいませんか?
実は、昔の私もそうでした。
このように、他人の様子を見てイライラする場合、
自分自身を同じルールで縛っていることが多いのです。
「がんばらないとダメだ!」
「がんばっていないと価値がない!」
こんなルールがあると、イヤなことでも歯を食いしばってガマンして頑張り続けてしまいます。
そして、
「自分はこんなにがんばっているのに、なぜあの人は!」
という気持ちが募り、イライラとなって表れるのです。
イライラの“ファミリー”たち
「がんばっていない人を見るとイライラする」
この感情には、仲間がいます。
- 自分の好きに生きている人を見るとイライラする
- 他人に気を遣わない人を見るとイライラする
- みんながガマンしているのにワガママな人を見るとイライラする
- 空気を読めない人を見るとイライラする
- 周りに迷惑をかける人を見るとイライラする
思い当たるものはありませんか?
こうした感情の背景には、心理学で“シャドーの投影”と呼ばれる現象が関わっています。
“シャドーの投影”とは?
「シャドー」とは、無意識のうちに抑圧された自分の中にある「見たくない部分」や「受け入れがたい感情」のことを指します。
それらは心の奥に隠されたままとなります。
この抑圧された自分の影を他者の中に見出す現象を「シャドーの投影」と呼びます。
つまり、自分では認めたくない感情や性質を、無意識のうちに他者に重ねて見てしまうのです。
この場合、心の奥では許せていない「がんばっていないダメな自分」を無意識に他者の中に見出してしまうのです。
つまり、
「本当はがんばるのが辛い!」
「もうイヤなことをがんばりたくない!」
という気持ちが、自分の内側で悲鳴を上げているサインかもしれません。
がんばらないとダメ?
多くの人は、自分を縛っているルールに無自覚です。
カウンセリングでは、こんな問いかけをします。

もしかして、あなた自身が
『がんばっていない自分には価値がない』
と思っていませんか?

自分が本当に好きなことに夢中になっているときは、
周りの人がどうかなんて気にならないものですよね。
今、やっていることをイヤイヤがんばっている可能性はありませんか?
すると、多くの方がハッとした表情になります。
そして、

えっ? がんばらないとダメなのは当たり前ですよね?
と、驚かれます。
そこからその方が自分自身の価値観に気づけるようにカウンセリングを進めていきます。
“自分らしく生きる”はワガママ?

自分が本当に好きなことをしたらいいんですよ

自分が自由に生きたら、人にイライラしなくなりますよ
そう伝えると、ほぼ100%の人が「そんなはずはない!」と反論します。
「今のままではダメだ」
「自分の好きに生きるのはワガママだ」
「イヤなことでも我慢してがんばるべきだ」
こうした“思い込み”は、親や社会から受け継いだものが多く、
日本では自己否定感が特に根深いものです。
自分を許せていないから、
他者も許せなくなってしまうのです。
でも、
ひとりひとりが「今の自分にOK」を出せるようになると、
自然と他人にも優しくなれるものです。
それが、
自分にも人にも優しい社会につながっていくのではないでしょうか。
私自身、そう信じて日々、カウンセリングや発信を続けています。
もっと自分を許してみませんか?
「がんばらない自分」も大切な自分の一部。
もし、今回の話が気になった方は、一度ご自身の価値観を見つめ直してみるのもいいかもしれません。
カウンセリングでは、そんな気づきをサポートしています。
今日も自分を大切に🍀
支援職のセルフケアをサポートする産業医・公認心理師の上谷実礼でした。