日本人は自己研鑽が足りない…


少し前のことになりますが、SNSで友人の何人もがシェアしていた記事で、
「アジア太平洋地域の14か国ではたらく人を対象に行った調査で、
日本の上昇志向は最も弱く、管理職志向・出世意欲は最低、
断トツで自己研鑽していないことが明らかになった」

という調査結果が紹介されていました。

このことについて普段の産業医の仕事でも思うことがあります。

ストレスチェックの結果で高ストレス判定の方のうち希望者は産業医と面談します。
部署異動して新しい業務をアサインされるタイミングは
新しい環境や業務に慣れるまでにストレスを感じる人が多いです。

30代前半ぐらいまでの比較的若い世代で、高ストレスと判定される人でこんな人がたまにいます。

「この春から新しい部署になって、知識もないので新しい業務になかなか慣れなくて…。
分からないことが多いので残業時間が増えてしまうのですが、
働き方改革で残業してはいけないことになっているので仕事が終わりません。
もう少し仕事に慣れれば状況は改善されると思うのですが、
残業もできないので調べたり勉強したりする時間がなく、
知識が足りなくて思うように仕事が進められないことがストレスです」

現状では意欲の低下や睡眠障害もないようです。

こういう場合、私はこんな風に話します。

「そうですか、それは大変な状況ですね…。
働き方改革で仕事の量は減らないのに残業ができなくて困っているという人の話はよく聞きますよ。
えーっと、現状について上司や先輩に相談してみたことはありますか?
残業ができなくて大変なのは皆同じ状況だと思うのですが、
周りの人がどんな工夫をしているか聞いてみたことはありますか?
先輩たちは色んな苦労を乗り越えてきているはずなので、
話を聞いてみたり工夫していることを聞いてみてもいいかもしれませんね。
あとは、新しい業務についての知識や経験が足りないとのことでしたが、
初めてのことに経験がないのは当たり前として、
業務についての知識を身につけるのはOJTでないとできないのですか?
つまり、テキストを読むとか週末などに研修を受けるとかで
カバーできるようなことはないのかしらね?
もしも知識がないことがストレスの原因であれば、
どうやったら知識を身につけられるか一緒に考えてみましょう。
そんなサポートならさせていただけると思いますよ」

実際には相手とのやり取りの中で話しますので、
そんなに怖くはないと思うのですが、
こうやって字面だけを読むと、クローズドクエスチョンばかりで、
我ながらなんだか圧迫面談のようですね(苦笑)

こんな感じでおたずねしてみると、
けっこうな割合で、上司や先輩たちに相談していない、
週末などに自己研鑽などは行っていない、
という回答が多いのです。

最初はみんな知識も経験も足りないのです!
それだけでストレスを感じるのはもったいない!

私が面談するのは、ストレスチェックで高ストレス判定になる方や
自分で相談に来る方というバイアスが掛かっていることは事実です。

けれども面談以外の機会に、はたらく人たちと話していても
会社で用意されている研修以外に自分で研修を受けたり
資格取得を目指して勉強をしたりしている、という人たちと
特になにもしていない、という人たちは2極分化しているな、
という肌感覚があるのでこの調査結果はさもありなん、という感じです。

(ちなみに高ストレスの方との面談では、
ご希望に応じて一緒に仕事の整理の仕方を考えたり、
上司への相談の仕方を考えたりもします♪)

私自身は仕事のための学びというよりも、
好奇心と自分自身の人生のために、
心理学をはじめとする多種多様な学びのために
莫大な時間とお金を投資してきました。

自分のために学んできたのに、
いつの間にか本を出せるようになっていたり、
仕事の幅も増えたりと学んできてよかったな、と思うことばかりです。

そして何よりも学びを通してたくさんの仲間ができて、
世の中には色んな生き方、働き方があるなということを知ることができたことが、大きな財産となっています。

所属するコミュニティが複数あることは精神的なリスクヘッジにもなります。
会社以外に自分の居場所があることは
仕事だけに人生を侵襲されないためにも意味がありますよ。

「自己研鑽」などと肩肘張らなくてもいいので、
週末や仕事の後に気軽に学ぶ人が増えるといいなと思います(*^_^*)

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