先日、心身医学会に参加するため、青森県弘前市まで足を運んでまいりました!
お目当ては、ポリヴェーガル理論の第一人者である津田真人先生(まひとさん)の基調講演。
会場でまひとさんの講演を拝聴できることに、心躍りました!!
今回の講演のテーマは「ポリヴェーガル理論は心身医学の革新に寄与しうるか?」。
キャノン、セリエ、ラザルス、ホームズ&レイといった先人たちの理論発展を紐解きながら、「ストレス」概念を中心に構築されてきた心身医学の骨格を俯瞰することができました。
「ストレス」だけでは説明できない心身の反応に迫るポリヴェーガル理論
近年、ストレス学説で語られる交感神経系の亢進だけでは十分に説明しきれない、トラウマやトラウマ関連疾患が増加していると感じています。
まひとさんの講演では、このような現代の課題に対し、ポリヴェーガル理論がどのように光を当てるのか、そして従来のストレス学説とどのように関連するのかについて、深く学ぶことができました。
特に印象的だったのは、ラザルスが提唱した「サブセプション」と、ポリヴェーガル理論の「ニューロセプション」が、ほぼ同じ概念を指しているという話。
これは以前にも耳にしたことがあったのですが、ストレス学説の歴史的な流れの中で改めて解説されると、私の知的好奇心が湧き立ちました!
認知されない無意識の評価が、いかに私たちの心身に影響を与えるかという示唆は、ストレスやトラウマの理解を深める上で非常に重要だと感じています。

臨床実践への情熱が灯した、私の心の火
まひとさんの基調講演に続いては、西日本を中心にご活躍されている4名のドクターから、ポリヴェーガル理論をどのように日々の臨床に落とし込んでいるかという実践報告がありました。
どの方も、自身の持ち場で情熱を持って、そして本当に地道な活動を続けていらっしゃる。
そのお話を聞いているうちに、目頭が熱くなるような想いでした。
私もまた、自身の持ち場である産業医や公認心理師としての活動を通して、この理論や学びを実践に繋げていこうと、心に熱い火が灯りました。
弘前まで足を運んだ甲斐がありました!
あなたの日常に活かすポリヴェーガル理論とセルフケアのヒント
今回の講演で再確認できたのは、ポリヴェーガル理論が、現代社会に生きる私たちが直面するストレスやトラウマへの理解を深め、より効果的なセルフケアへと繋がる大きな可能性を秘めているということです。
過去の私のブログ記事でも「じっとしている力」について触れてきましたが、これはまさにポリヴェーガル理論が示す神経系の働きと深く関連しています。
ブログ「じっとしている力」はこちらから↓↓↓
無理に「頑張る」だけでなく、自分の心身の状態を適切に把握し、必要に応じて「じっとする」、つまり休息や安心できる状態を選択することが、持続可能な心身の健康には不可欠なんです。
対人支援職として日々他者と向き合う皆さんにとって、相談者の感情に巻き込まれずにいられるためのスキルや、自身のトラウマ反応への理解は、何よりも大切なセルフケアです。
ポリヴェーガル理論は、私たち自身の神経系の反応を理解し、ストレスへの耐性を高め、安心感を高めるための具体的なヒントを与えてくれます。
変化の時代を生きる支援職の皆さんへ
今回の学びを通して、ポリヴェーガル理論が、心身医学、そして広く対人支援の分野に革新をもたらす可能性を強く感じました。そして何より、現場で奮闘する臨床家の方々の情熱に触れ、私も改めて自分の役割と貢献について深く考える機会となりました。
これからも、ポリヴェーガル理論のような新しい知見を取り入れながら、ストレスやトラウマに苦しむ人々、そしてその方々を支える産業保健師や対人支援職の皆さんが、より健やかに、そして持続可能な形で活動できるよう、様々な形で情報発信や支援を続けていきたいと思っています。
