夏を健やかに過ごすために – 産業医からの3つのヒント

こんにちは、産業医の上谷実礼です。

お盆期間で夏休みを取っている方も多いのではないでしょうか。

今年も厳しい暑さが続いていますね。

「せっかくの休みだけど、出かける気になれない…」

「なんとなく疲れが取れない…」

そう感じている方もいらっしゃるかもしれませんね。

夏は暑さで、ただ生きているだけでも疲れますよね

実は、この「だるさ」には科学的な理由があります。

夏場は体温を下げるために、副交感神経が優位になり、血管を拡張して放熱します。

しかし副交感神経が働きすぎると、心拍がゆっくりになったり、血圧が過度に下がったりして、全身に十分な酸素や栄養が行き渡りにくくなります。

その結果、「だるい」「疲れた」と感じやすくなるのです。

つまり、夏のだるさは自律神経が一生懸命、体を守ろうとしてくれているサインなのです。

ですので、無理に活動しようとせず、体を休ませてあげることが大切になります

夏の体の特徴を知ろう

私たちの体は環境の変化に合わせて、自律神経のバランスを調整しています。

夏には夏の、冬には冬の、適した自律神経のバランスがあります。

繰り返しになりますが、夏は暑さに対応するために、副交感神経を優位にし、血管を拡げて熱を逃しやすくしていますが、その分血圧が下がり、だるさや眠気を感じやすくなります。

この自然な反応を「だらけている」とか「やる気がない」と責める必要はありません。

体がちゃんと夏仕様に切り替わってくれている証拠なのです。

だからこそ、責めるよりもいたわってあげましょう。

夏を快適に過ごす3つのヒント

① 朝の涼しい時間に軽く動く

朝は気温が比較的低く、自律神経も整いやすい時間帯です。

軽いストレッチや散歩で血流を促し、1日のリズムを整えましょう。

② 水分はこまめに、塩分は体調に合わせて

汗で失われるのは水分だけではありません。

ミネラルも一緒に失われます。

健康な方は、ミネラルを含む麦茶や、塩分を少し意識した食事が熱中症予防になります。

高血圧や腎疾患で治療されている方は注意が必要ですので、主治医に確認しましょう。

水分摂取は一度に大量ではなく、少量をこまめに、がポイントです。

③ 昼間は「シエスタ」タイムでエネルギー回復

スペインでは、暑い時間帯を避けて昼休憩を取る「シエスタ」という習慣があります。

日本でも生産性向上を目的に導入する企業が増えていると言われています。

実際働いている時には難しいかもしれませんが、お盆休みの間だけでも15〜20分の昼寝をしてみてはいかがでしょうか。

副交感神経が働いている時には、無理をせず心も体もリラックスさせましょう。

まとめ

夏は私たちの体にとって、意外と負担の大きい季節です。

だからこそ、無理をせず、季節に合った過ごし方が大切です。

休み日は、がんばるのをちょっとお休みしても大丈夫。

まずは、簡単なセルフケアで、暑さの中がんばっている自分の体をいたわってあげてくださいね。