「大丈夫です!」と答えてしまうあなたへ — ゆらぎを受け入れる心身のケア

「○○さん、最近、大丈夫ですか?」

職場の同僚にこう声をかけたとき、「大丈夫です!」と即答されたら、実は注意が必要かもしれません。

本当はツラいのに、弱みを見せまいと無理をしている可能性があります。

一方で、心身ともに問題がない人は「大丈夫ですか?」と聞かれると、

「大丈夫って何のことですか?」と問い返してくることが多いのです。

この経験則を、「大丈夫は大丈夫じゃないの法則」と名付けてみました。

もちろん、すべてのケースに当てはまるわけではありませんが、

職場の人事担当者の方々からも

「たしかに大丈夫と答える人は大丈夫じゃないことが多いですね!」

という共感の声をいただいています。

では、もし「大丈夫じゃない」状態が続いていたら、どうすればいいのでしょうか?

ゆらぎがあっていい

人間の体調や心の状態は、常に一定ではありません。

特に、女性の場合は月経周期にともなうホルモンの変動によって、体調や気分に変化が生じることがあります。

PMS(月経前症候群)として知られる症状の中には、身体的な不調だけでなく、感情の浮き沈みも含まれます。

しかし、これは特別なことではなく、むしろ自然なこと。

私からお伝えするのは次のようなことです。

PMSの症状の種類や重さは様々あり、内容や程度によって対処の仕方は色々とありますので、日本産婦人科学会のサイト情報が参考になります↓↓↓

これは、何も女性に限った話ではありません。

男性にも、ストレスや疲労による体調の波がありますし、

季節や気候の変化によっても自律神経の働きが影響を受け、

心身の調子に変化が出ることもあります。

さらに、年齢を重ねることで回復力が変わることもあり、

その時々の自分の状態を受け入れることが大切です。


特に忙しいビジネスパーソンは、「常に一定のパフォーマンスを発揮しなければならない」と自分を追い込んでしまいがちです。

でも、「今日はなんだか調子が出ないな」と感じる日があっても、それは決してダメなことではありません。

自分の「ゆらぎ」とうまく付き合う

体調や気分に波があることを否定するのではなく、

「今日はちょっと疲れているから、早めに仕事を切り上げよう。」

「集中力が落ちているから、少し休憩を挟もう。」

「気分が晴れないから、軽く散歩してリフレッシュしよう。」

そんな風に、自分の状態に気づき、それを受け入れながら調整することが大切です。

「がんばれない日もある自分」を許してあげてください。

そして、そんな自分を責めるのではなく、

「いつもがんばっている自分」をねぎらってあげてください。

いくつか具体的な方法をお伝えしますね。

  1. 自分の調子を見える化する
    (例:簡単なチェックリストや日記)
  2. 休むことも「仕事のうち」と考える
    (疲れているときは効率が落ちる → 休んだ方が生産性アップ)
  3. 自分に合った「自分ねぎらい法」を持つ
    ・温かい飲み物を飲む
    ・深呼吸する
    ・ストレッチする
    ・セルフマッサージをする
    ・散歩や軽い運動をする
    ・音楽を聴く
    ・好きな香りを嗅ぐ
             ・・・・など

そうすることで、心身のバランスを保ち、結果的により良いパフォーマンスを発揮できるようになるのです。

「大丈夫?」と聞かれたら

もし誰かに「大丈夫?」と聞かれたとき、

つい「大丈夫です!」と反射的に答えてしまうかもしれません。

でも、そんなときは少し立ち止まって、自分の心と体に問いかけてみてください。

「本当に大丈夫かな?」

そして、大丈夫じゃないときは、

「ちょっと疲れてるかも」「まあまあかな」と正直に答えてもいいですし、

無理をせず、誰かに頼ることも大切です。

私たちは、支え合いながら生きていくもの。

「不調も自分の一部」と考え、「ゆらぎ」を大切にしながら、少しずつ前に進んでいきましょう。

支援職のセルフケアをサポートする産業医・公認心理師の上谷実礼でした。