ウエタニミレイです。
だいぶ間が空いてしまいましたが、一緒にお仕事している保健師さんに
保健指導について熱く語っていたら、先日のブログの続きを書きたくなったので書きます!
私が保健指導の本を書きたいと考えた動機は大きく二つありました。
1つ目。
現在の保健指導の仕組みとやり方は、人間のココロのメカニズムを理解していない賢い人が頭だけで考えたものであろうと感じられます。
アドラー心理学やその他のセラピーなどの学びを通して人間のココロのメカニズムが理解できるようになって、保健指導を実施する私自身の心構えが変わり、結果として保健指導がうまくいくようになる可能性が高まったという経験をしました。
ですから、テクニック的に保健指導をうまくいかせようとする以前に、人間のココロのメカニズムを理解して、保健指導を実施する医療職の心構えを整えることが大切! 他者がハッピーになるお手伝いをしたいなら、自分自身がまずはハッピーであることが大切!ということを訴えたかったからです。
というわけで、主にこの1つ目の動機に基づいて本を書き上げました。
2つ目。
これは本には書かなかった、書けなかったことなのですが、現状の保健指導の仕組みや社会に対する疑問というか怒りも執筆の動機になっています。
将来の病気につながる可能性のある生活習慣としては、主に食事にまつわるもの、運動、アルコール、タバコ、休息の5つがあると考えられます。
この中で特に食事、運動、休息はタイムマネジメントと密接に関連しています。
例えば、ダイエットを考えるとしましょう。
体重を落とすためにはできるだけ野菜中心のヘルシーな食生活を行い、適度な運動を定期的に行う必要があることは多くの人がご存知だと思います。
最近は睡眠不足が肥満につながることも知られるようになってきました。
けれども、現代人は忙しいです。
コンビニ弁当で食事を済ませるのではなく、野菜中心のヘルシーな料理を作るために自炊するためには時間が必要です。
スポーツクラブに通ったり、近所をジョギングするためにも時間が必要です。
睡眠時間を確保することはタイムマネジメント以外の何者でもありません。
経済評論家の勝間和代さんが書かれた『やせる』という本に、「ダイエットはタイムマネジメントが勝負だから、まずはできるだけ仕事をサボって時間を作るようにした」と書いてあるのを見つけたときは、思わず「ブラボー!」と叫びました。
健康的な生活習慣を選択していくためには時間的な余裕が必要なんですよ!
わが国の特に正規雇用者の労働時間が長いことは有名ですが、保健指導うんぬんより先に、この長時間労働を解決することが生活習慣病の一番の予防になると思うのです。
アルコールやタバコの問題についても同様に保健指導うんぬんよりも前に、社会にもたくさんの課題があると思うのです。
ベテランアイドル(という表現があるのか分かりませんが)の男性が、お酒によるトラブルが原因となってTVから姿を消すことになったという出来事はまだ記憶に新しいですが、彼のように問題飲酒が疑われる人は実はかなり多いと言われています。
街の居酒屋では飲み放題が当たり前になっています。
コンビニや自販機で24時間簡単にお酒が買える国は珍しいです。
今でこそ、受動喫煙の問題がクローズアップされていますが、タバコもコンビニや自販機で比較的簡単に買えますよね。
保健指導に全く意味がないとは言いません。
その人にとってちょうどいいタイミングであれば、医療職のサポートを得て生活習慣を改善する人も少なくありません。
けれども、もっとインパクトをもって将来の医療費を削減させたいなら、保健指導実施者に多大な負担を負わせるのではなく、個々人の努力を強制するだけでなく、
タバコの税金を上げるとか、飲み放題は禁止するとか、お酒やタバコを買いにくい仕組みにするとか、高脂質・高糖質な飲食物に課税するとか、長時間労働を改善できない企業には罰金を科するとか、もっと社会としてやるべきことがあるだろうと思うのです。
まぁ、もちろんこんな過激な政策は急には実行できないという大人の事情も分かります。
でも、そもそも生活習慣病になりやすい社会を根本的に変えようとしないで、表面的に、姑息な手段で現場(保健指導実施者と生活習慣病の患者さん)に負担を負わせるやり方に、私は腹が立つのです!
保健指導をしていて、皆さんの生活の状況をうかがっていると、単に正論を伝えることの虚しさを感じます。
みんな必死に日常生活を生きているのです。
その時々でベストではないかもしれないけれど、その人にとってのベターな選択をした結果が今なのです。
そこに正しいも間違いもないと思うのです。
けれども、「今のあなたの生活習慣は間違っている」というようなメッセージが少しでもその人に伝わることは、大きな勇気くじきとなります。
「社会がおかしい!」とシュプレヒコールを上げるだけでは状況は変わりませんが、根本的な社会の仕組みを変えようとしないで現場の人々の自己責任にする現状の保健指導(特に特定保健指導)の仕組みには怒りを感じます。
…とは言え、競合的に怒っていても建設的ではないので、今の自分にできることを考えて、現場の負担が少しでも軽減するといいな、という思いを込めて本を書きました。
それでは、今日もよい一日を\(^O^)/