「なぜ?」「どうして?」の暴力性

秋はお手伝いしているいくつかの会社さんのストレスチェックのシーズンです。

高ストレス者面談の中で感じたことを今日のタイトルにしました。

高ストレス者のストレッサー(ストレス要因)は、かなりの頻度で上司との関係です。


皆さんの話を聞いているとよく出てくるのが、

上司から「なぜ?」「どうして?」と詰められるのがしんどい、というお話。

「なんでやらなかったの?」

「どうして〇〇しないの?」

「何回も言ってるのにどうしてできないの?」


上司からこうやってワーッと言われると頭が真っ白になってしまって何も考えられなくなるんです、と。

ポリヴェーガル理論で説明すると、背側に入ってしまう状態ですよね。

あ! 宣伝していなかったのですが、ポリヴェーガル理論についてのWEB連載が始まっています。

「背側に入る」の意味を書いています。

ぜひお読みくださいませ^_^

第1回 ポリヴェーガル理論って何?|産業保健活動にポリヴェーガル理論を活用しよう|産業保健と看護 (medica.co.jp)


「なぜ?」と理由を聞かれてハッキリ答えられるときもあれば、

「なぜ?」と聞かれても自分でもよく分からなくてうまく説明できないとか

別に意図的に行動したり、行動していなかったりすることに対して

「なぜ?」と聞かれても困るよ!と感じるという経験は誰しもあるのではないかと思います。

そもそも、自分が何ができていないのか、何をするとダメなのかということすら理解できていないという可能性もあって、

この場合は「なぜ?」「どうして?」と聞かれてもうまく答えられるわけはありませんよね。


「なぜ〇〇できないの?」

「どうして■■するの?」

という表現には、できなくて困っている部下を支援しようという気持ちではなく、

暗に「〇〇できない」「■■する」相手はダメだとジャッジして、

責める気持ちが含まれています。

そして、「なぜ?」という質問形式になっていても、

理由が聞きたいわけではないことも多いです。


「ダメな人」とジャッジして、ただ責めていても人の成長を支援することはできません。

部下が成長しないと、結局困るのは上司である自分自身です。


部下のことを「ダメな人」ではなく「もしかしたら困っている人」なのかもしれない、と思えるなら

単に「どうしてできなかったの?」と聞くのではなく

「現状に対してどう感じている?」と傾聴してみる、という選択が生まれます。

その結果、もしかしたら「そもそもどうするのが正解か分かっていない」ということが浮き彫りになるかもしれません。

そうしたら初めて上司として支援するための方向性が明確になりますよね。


別の視点で見てみると、「なぜ?」「どうして?」と部下を詰める上司自身が

過去の上司や親からそのような関わりを受けてきた傷ついている人なんだろうな、と思えるわけなんですが、

その話はまた別の機会に・・・。