【研修レポート】山口県で伝えた「アドラー流勇気づけ保健指導」と、未来の保健指導のカタチ

先週末は、山口県産業看護研究会様にお招きいただき、「アドラー流勇気づけ保健指導」というテーマで講演を行ってきました。

あいにくの雨模様でしたが、本当に多くの方々にご参加いただき、会場は皆さんの熱気と関心に包まれた、あっという間の2時間となりました。

講演後には、持参した拙著がまさかの完売!

たくさんサインもさせていただきました。

皆さんの熱心なご質問と、直接お話しできた時間も、私にとってかけがえのないものとなりました。

オンラインでの交流も便利ですが、やはり現地に足を運び、皆さんと“生のやり取り”ができると、得られる情報量や学びの深さが格段に違うと改めて実感しました。

アドラー心理学の“誤解”をほぐす時間


講演では、アドラー心理学の基本的な考え方と、それを保健指導にどう活かすかという視点でお話しをしました。

アドラー心理学は、一見シンプルなようで、表面的に理解してしまうと「学んだ通りにできない自分にダメ出ししてしまう」ようなことが起こりがちです。

今回の講演では、そんな誤解を少しでもほどいて、“自己否定”ではなく“自己理解と勇気づけ”につながる保健指導をお伝えしたいという思いで臨みました。

質疑応答でも多くのご質問をいただき、「アドラー心理学って、こういうことだったんだ」と納得していただける場面がたくさんありました。

「セルフよしよし」から始まる自己受容

講演後には、早速たくさんの嬉しいご感想をいただきました。

  • 保健指導の枠組みそのものを考える時間になった
  • とても理解しやすく、納得感があり、明日からの日常業務に活かしたいと思った
  • 先生に教えていただいた『セルフよしよし』を実践したいと思った

この「セルフよしよし」は、自分で自分をねぎらい、勇気づけるための簡単な方法です。

日々多忙な業務の中で、まずは自分をいたわる時間を持つこと。

それが支援の質や、自分自身の持続可能性にもつながっていくのだと、私自身もあらためて感じました。

生活習慣は“その人の人生そのもの”

生活習慣は、その人が長年積み上げてきた生き方の表れです。

だからこそ、それを変えようとすること、行動変容を促そうとすることは、場合によってはその人の人生を否定するような乱暴さを含んでしまうこともあります。

講演で使用したスライド「勇気づけ保健指導のゴール」

保健指導はとても繊細で、丁寧な関わりと深い理解が必要な時間だと、私は思っています。

しかし現場では、「特定保健指導」という制度の中で、“決められたとおりにこなすこと”が優先されがちで、悩みながら関わっている支援者の方も少なくありません。

「保健指導」という言葉を問い直す

昭和23年に制定された保健師助産師看護師法のなかで、「保健指導」は保健師の業務として位置づけられました。

けれど、今の時代感覚に「保健指導」という言葉が合わなくなってきている

——そんな声を、私はこれまで多くの産業保健職の皆さんから聞いてきました。

指導ではなく、対話・伴走・勇気づけの視点へ

現代の多様な働き方や価値観に合わせた、保健指導の“ことばの見直し”も、これから必要になってくるかもしれません。

今回の講演会のベースになっている書籍はこちら↓↓↓

『ミレイ先生のアドラー流“勇気づけ”保健指導』

変化のただなかにいる、すべての支援職へ

私はこれからも、先人たちが積み重ねてきた大切なものを丁寧に引き継ぎながら、変わり続ける現場の声に応えられる活動を続けていきたいと思っています。

そして何より、一人ひとりの支援職の方が「自分を大切にしながら」働き続けられるよう、

アドラー心理学の知見やセルフケアの視点を通して、

あたたかく、実践的にエンパワメントできる存在でありたいと願っています。

ご参加くださった皆さま、山口での貴重な時間を本当にありがとうございました。

またどこかでお会いできますように🍀