【研修レポート】対応困難な相談への対処法 〜自分をすり減らさず、持続可能な支援職であるために〜

現場で日々、向き合い続ける保健師さんたちへ

市川市・浦安市で活動されている行政保健師さん向けの研修に登壇させていただきました。

テーマは、対応困難な相談への対処法 ― 自分をすり減らさないで持続可能な支援職であるために』。

地域で仕事をする保健師さんたちは、

特定妊婦や支援拒否、

不衛生な環境、

セルフネグレクト、

経済的困窮、

虐待事案、

社会的孤立など、

簡単に解決できない現実」に日々直面しています。

相談の現場では、専門的な知識や判断力だけでなく、

人としての温かさ誠実さが常に求められます。

でもその想いが行きすぎると――

自分を後回しにして誰かを助けようとする」という、

自己犠牲のサイクルに陥ってしまうこともあります。

キーワードは「過剰適応」と「バウンダリー」

研修では、そんな支援職の“燃え尽きを防ぐ”ためのキーワードとして、

過剰適応」と「バウンダリー(境界線)を取り上げました。

  • 過剰適応」とは、他者の期待や社会のルールに合わせすぎて、自分の感じていることを抑え込んでしまう状態
  • バウンダリー」とは、自分の大切な領域を守るための境界

この2つの概念を理解すると、支援の現場で起こっている“しんどさ”が見えてきます。

たとえば、

「助けなければ」「見捨ててはいけない」と思いすぎてしまうと、

気づかないうちに自分の限界を越えてしまいがちです

一方で、必要な距離を取ることを「冷たい」と感じてしまう人も少なくありません。

しかし、

バウンダリーを保つことは、

支援をやめることではなく、

支援を続けるための力 なんです。

レクチャーと対話を通して見つける「支援の持続可能性」

今回の研修では、レクチャーに加えて、

ペアワークやグループダイアローグを交えながら、

支援の現場で感じていることを分かち合い、

「自分をすり減らさずに支援を続けるためのヒント」を探っていきました。

支援の現場で一番大切なのは、支援者自身の安全感”です。

安全・安心を感じられる関係性が、そのまま地域の支援の力になります。

まとめ〜自分を大切にすることから、支援は続いていく〜

千葉での生活ももう30年になります。

こうして地域に根ざして活動されている方々とご一緒できることが、何より嬉しく思います。

「他者を大切にすること」と「自分を大切にすること」は、決して矛盾しません。

むしろ、自分の心と体を守ることが、支援を長く続けるための一番の基盤です。

もし最近、「疲れやすい」「つい抱え込みすぎてしまう」と感じるときは、

ほんの少し、自分の呼吸や身体の感覚に意識を向けてみてください。

そこから、支援のあり方も自然と整っていきます。