【研修レポート】カウンセリング実践「図と地・気づきのサイクル」@千葉産保センター

千葉産業保健総合支援センターで、今月も研修を担当してきました。

今回のテーマは、産業心理学入門シリーズのカウンセリング実践②

私はゲシュタルト療法をベースにカウンセリングを行っていますが、今年からは

  • ゲシュタルト療法のミニレクチャー
  • オープンカウンセリング(ライブセッション)
  • セッションの解説と質疑応答

という“三本柱”でお届けしています。

オンライン参加では産業医単位は取得できないにもかかわらず、

毎回オンラインからも熱心に参加してくださるドクターが複数いらっしゃいます。

実際のカウンセリングを見たことがない」という声も多く、

毎回、反響が大きいようです。

ミニレクチャー「図と地・気づきのサイクル」

前半のレクチャーでは、ゲシュタルト療法の基礎理論の中から、

  • 図と地
  • 気づきのサイクル

を取り上げました。

ゲシュタルト療法では、

興味・関心が向いて選択されたものが認識され「」となり、

選択されなかったものは背景に退いて「」となる、

と考えます。

図と地のポイントは2つ。

  1. 図は地によって成り立っている
  2. 図と地は入れ替わる

図が固定され、いつまでも意識にのぼり続ける状態を「固着」と呼びます。

そこで大切になってくるのが、“気づき”です。

人はその時に必要な欲求を図として認識し、

欲求を完了していくことで、

図が地になっていきます。

しかし、欲求が完了できなかった場合には、

欲求は「未完了な事柄」となり、

時空を超えて繰り返し現れてきます。

ゲシュタルト療法では、

気づくことができれば、自己調節機能を働かせて欲求を完了していくことができる

と考えます。

つまり、“気づく力”を取り戻すと、

問題の見え方そのものが変わります。

気づきのサイクルは、

“いま、何が図で、何が地になっているのか”に意識を向け、

丁寧にサポートすることで、

クライエントの変化は自然に起きてくることを

教えてくれています。

オープンカウンセリング

後半は、オープンカウンセリング。

その場でクライエントをしてみたい方を募り、

実際のことをお話してもらいました。

カウンセリングは、カウンセラーが方向性を決めて進めるものではありません。

そのため、前半のレクチャーで説明したことがそのまま起こるかどうかは予測できません。

しかしながら、今回のクライエントの方の気づきがすごく

わずか30分程のカウンセリングでしたが、

開始時の「図」が、

終了時にはまったく異なる「図」へと変化していきました。

カウンセリングで私が大切にしているのは、

話す“内容”に加えて、

  • 声の調子
  • 表情
  • 姿勢
  • 呼吸の変化

と言った非言語の情報です。

それにより、クライエント自身の“気づき”が促進されていきます。

参加者の感想の一部

対面でクロージングされるまで行うカウンセリングを初めて見ました。
オンラインとは感じ方がまた違いました。
ミレイ先生の歯切れがいいのにちゃんとクライエントと一緒に探検している様子を見ることができて感動しました。
カウンセリングというと寄り添うという言葉がものすごく使われますが、
いい意味で寄り添わず、でも一緒にいる姿がある、と思いました。

実際のカウンセリングの様子は見ることが難しく、
教科書や参考書では感じ取れない、会話のペースや間などを拝見できて勉強になります。
ありがとうございました。

おわりに

産業保健職の方や対人支援職の方の多くが、

そもそもカウンセリングとはどういうものなのか?

という疑問を持ちながら日々支援に携わっているのではないでしょうか?

カウンセリングは、心が病んだときだけに受けるものではありません。

自己理解と自己成長のためにもとても有効です。

この研修をきっかけに、「カウンセリングを体験してみたい」という方が少しでも増えたら嬉しいです。

千葉産保センターの皆さま、ご参加くださった皆さま、

ありがとうございました🍀