おはようございます。上谷実礼です。
パワハラという言葉はずいぶん一般的になりましたよね~。
パワハラ防止のための対策を行うように来月から大企業に義務づけられます、
ということで、今日はパワハラの話をしたいと思います。
法律ができるというということは国会を通さないといけないわけで、
相当な手間と時間が掛かることです。
法律を作って対応しなければならないほど、パワハラの問題が深刻だということですね。
ちなみに、やばい上司の部署に配属されたらどうする?という事例については
この本に詳しく書いてあるので、ぜひ読んで欲しいのですが、
今日は本には書かなかったことを書きますね。
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いわゆるパワハラ上司と呼ばれる人で、根っからサディスティックな人はそう多くはありません。
良かれと思って、その方法しか知らずにパワハラ的な指導をしていることがほとんどです。
どうしてその方法しか知らないのか?
自分自身が他の人、多くは親からパワハラ的な関わりを受けてきたからです。
どんなパワハラ上司にも赤ちゃんの時があったのです。
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パワハラをする人はターゲットを見つけては怒りをぶつけますが、
ほとんどの場合はターゲットに落ち度や問題があるのではありません。
パワハラをする人の中にはいつも怒りがあって、怒りを出せるところがないか探しているのです。
そして怒りの感情の底には悲しみ、寂しさなどの感情があります。
怒っている人は悲しんでいる人、
人を困らせる人は困っている人なんです。
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どんな悲しみがあるのか。
条件付きではなく無条件に愛されたかったなぁ
ジャッジしないで自分の話を聴いてもらいたかったなぁ
どんな自分でもそのままでいいんだよって言ってもらいたかったなぁ
あなたはパパとママの宝物だよって、ただ抱きしめて欲しかったなぁ
できないところばかりじゃなく、できているところを見て欲しかったなぁ
怒った顔や心配そうな顔じゃなくてママの笑顔が見たかったなぁ
もっと自分を分かってもらいたかったなぁ
今のままの自分でここにいていいんだって感じたかったなぁ
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パワハラする人は組織のルールとしては罰しなきゃいけないかもしれませんが、
彼、彼女の中にある悲しみとつながらないと本当にその人を理解することはできないんです。
そして相手を理解しようとしないと、こちらの話は聴いてもらえないんです。
もちろん「お母さんから愛されたかったんですね」といきなり言ったりはしませんが、
私がパワハラの加害者と面談するときは、
相手の瞳の奥のその人のさみしさや孤独にアクセスする意識で向き合います。
すると少しずつ心を開いてくれます。
こんな産業医は珍しいかもしれませんね。
私自身が自分の悲しみやさみしさとつながれるようになってから、
他の人の深い部分にアクセスできるようになった気がします。
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人ってね、タテの関係しか知らなかったら当然のように他者とタテの関係を作ります。
パワハラをする人は相手によっては自ら人の下に入ろうとします。
そして自分より弱そうな相手には上になろうとします。
私はこれまで上司のパワハラが原因でうつ病になった人が
元気になって自分の部下にパワハラするようになるのを何度かみてきました。
誰しもパワハラに遭いたくないですよね。
でもね、自分自身がタテの関係の世界観にいるかぎり、ターゲットになる可能性があります。
だからね、タテの関係を脱して、ヨコの関係を作っていきたいんです。
パワハラをする人ってね、相手をみていますよ。
「こいつは自分の下には入らない」って感じ取ったら、そういう人はターゲットにしません。
だからヨコの関係を作っていくことが自分の身を守ることにつながるのです。
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ヨコの関係って言ったって、上司とはタテの関係になるのが当たり前でしょ!って思いますか。
立場とか肩書きとか年齢とか役職とかそういう話をしているんじゃないんです。
相手がどんな人であれ、
自分には価値があるな、自分のことが大切だと思えるな、今のままの自分でOKだなって
感じられる人、自分自身と仲間になれる人は
他者ともヨコの関係を作ることができます。
相手のことも大切に思えて仲間になっていけます。
今の自分じゃダメだと自分自身に競合的なジャッジがあると、
自分でOKと感じられる部分では人の上になろうとし、
自分でOKと感じられない部分では人の下に入ろうとします。
だからね、人とヨコの関係を作っていくためには
まずは今のままの自分でいいな、ダメなところや腹黒いところも含めて
ありのままの自分にOKを出してやっていくこと、
つまり、自己受容、自己信頼がスタートなんです。
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そんなのムリ!
今のままの自分じゃダメだ!ともしも感じるなら、
自分の中にもパワハラ上司になる要素があるということですよ。
厳しいようですが、自分にダメ出ししているということは
自らタテの関係を作り出す可能性があるってことです。
ちなみにこれ、昔の私自身の姿でもあります。
昔はずいぶん自分にダメ出しをしていたものです…。
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パワハラに遭わないためっていうとちょっとネガティブな表現ですがw、
自分を大切にしていくことはパワハラ被害に遭わないようにするにも役に立ちます。
そして自分を大切にするとは自分らしさを大切にすること、
では自分らしさとは?という話を今週末の勉強会でもしたいと思います。
おかげさまで今月はすでに満席をいただきましたが、
自分らしさってなんだろう?ということについてはこの本にも書きました。
よかったらお読みくださいね(*^_^*)
【満員御礼!】月例勉強会『自分らしく生きるレッスン』
◆月例勉強会『自分らしく生きるレッスン』
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今月のミニセミナーのテーマは「自分らしく生きるとは」です。
詳細はこちらをご覧ください。
勉強会メンバーから「ここにくると役割から離れて自分のままでいいと感じられる」と言ってもらえる場です。
上谷実礼の著書一覧
※現在はAmazon、楽天ブックスともにお求めが難しくなっています。
出版社メディカ出版さんのサイトでお求めいただくことが可能です。
『ミレイ先生のアドラー流“勇気づけ”保健指導』
『ナースのためのアドラー流勇気づけ医療コミュニケーション』
『ミレイ先生のアドラー流勇気づけメンタルヘルスサポート』
今後の予定
◆『面談の時間が楽しみになる勇気づけ対話術』
6月25日(木)14時~16時@千葉産業保健総合支援センター
◆『感情とうまく付き合おう 』
7月9日(木)14時~16時@千葉産業保健総合支援センター
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