先日は都内某所にて
企業の人事担当・教育研修担当・産業保健スタッフなどの皆さん向けに
4時間のワークショップを行ってきました。
テーマは
「カナリアは誰のために鳴くのか~メンタル不調者が教えてくれる組織の課題~」
メンタル不調を「個人の問題」ではなく「組織のサイン」として捉え直す。
今日はその核心となるお話をお届けします。
炭鉱のカナリア
皆さんは「炭鉱のカナリア」という言葉を聞いたことがありますか?
これは、大きな危機が訪れる前に現れる
小さな兆候を意味するメタファーです。
19〜20世紀の炭鉱では、
有毒ガスをいち早く察知するために
カナリアが坑道へ連れて行かれていました。
カナリアは人間よりも毒ガスに敏感で、
異変が起きると先に弱ってしまいます。
その変化を見て、
鉱夫たちは危険を知り避難できたのです。
現代ではこの言葉は、社会・経済・環境などで
「最初に異変を知らせる存在」を指す表現として使われています。
組織に潜む「見えない毒ガス」
企業におけるメンタル不調者は
カナリアと同じ役割を果たしていると思えてなりません。
メンタル不調は「個人の問題」ではなく、
組織に潜む「見えない毒ガス」
つまり「命の危険」を
身を挺して教えてくれているのです。
現代人にとっての「命の危険」とは、
物理的なものだけではありません。
職場で「否定」「非難」などが生じると
人の脳にとっては「安全ではない環境」として認識します。
それは、目に見えない有毒ガスのように
日常的にじわじわと命を削っていきます。
職場で起きている「防衛反応」
職場で感じる「命の危険」は、
脳の扁桃体によって検知され、
身体は防衛モードに切り替わります。
これは「弱さ」ではなく、
生き延びるための反応です。
しかし、職場環境に安全感がない状態が続くと、
この防衛反応が慢性的に働き続けてしまいます。
その結果、人は本来の力を発揮できなくなり、
過剰に攻撃的になったり、
逆に動けなくなったり、
心身の不調として現れることがあります。
こうした状態は、
しばしば「やる気がない」「性格の問題」と誤解されがちですが、
実際には環境への適応反応である場合も少なくありません。
職場に「安全」を作る鍵
どうすれば職場に「安全」を作ることができるのでしょうか。
鍵になるのは、「つながり」です。
人は信頼関係を感じると、
オキシトシンというホルモンが分泌され、
防衛反応が落ち着き、
安心して他者と関わることができるようになります。
オキシトシンは愛着ホルモンとも呼ばれ、
スキンシップや愛着行動と関係があります。
けれども―――
職場でスキンシップをしたらセクハラになります…。
ですから、ワークショップでは
職場でのどのようなかかわりが
「つながり」や信頼関係の構築につながり
オキシトシンの分泌を増やす可能性があるのか
というお話をしました。
自分とのつながり
人とのつながりを作っていくためには、
自分自身とのつながりを深めていくこと。
他者を受容するためには
自分自身を受容していくこと。
ワークショップの最後には
自己受容の一歩になるといいなという想いを込めて
オープンカウンセリング(公開形式のカウンセリング)も行いました。
カナリアは誰のために鳴いているのか
小さな変化に気づき、耳を傾け、関係性を育てること。
それが、組織の「命の安全」を守る第一歩です。
さて———

大切な命の時間を使って、
今日もブログを読んでいただき、ありがとうございます!
