【登壇報告】メンタルヘルス研修~部下に抱え込ませないチームの作り方~

上司

最近どう?

部下

大丈夫です

職場で、こんなやり取りをしたことはありませんか?

「大丈夫です」は、とても便利な言葉です。

コンビニで「袋は要りますか?」と聞かれたときも、

仕事で「何か困っていることはない?」と聞かれたときも、

つい口にしてしまいます。

でも、本当に大丈夫とは限りません。

困っているのに言い出せないのかもしれませんし、

自分が困っていることにまだ気づいていないのかもしれません。

部下の「大丈夫です」の向こう側には、何があるのでしょうか。

先日、ある企業のチームリーダーの皆さんを対象に、メンタルヘルス研修に登壇しました。

若手社員が悩みを抱え込まない職場を目指して

今回の研修は、3年計画で進められているメンタルヘルス研修の第2回です。

背景には、若手技術者の中に、悩みや困りごとを一人で抱え込み、周囲に相談できない人がいるという課題がありました。

上司に相談できない。

周りに迷惑をかけたくなくて、自分で何とかしようとする。

そして気づいたときには、心身の不調につながっていることもあります。

これは、特定の企業だけの問題ではないでしょう。

AIの活用などで仕事が効率化されても、

空いた時間に次の仕事が入り、

かえって仕事の密度が高まる可能性があります。

仕事が便利になっても、

人がラクになるとは限りません。

だからこそ、困ったときに一人で抱え込まず、

周囲に相談できることが、

これまで以上に大切になります。

研修では、同僚や上司が日常の業務の中で支え合える職場づくりを目指しました。

「気づく・声をかける・聴く」をテーマにした研修

研修では、

ラインケア(管理職が部下のメンタルヘルスを守るために行う取り組み)の基本を振り返りながら、

次のテーマを扱いました。

  • なぜ人は「つらい」と言えないのか
  • 部下の「いつもと違う」に気づく
  • 声をかけ、話を聴く
  • 必要な対応や支援につなげる

講義に加えて、

職場で起こりそうなケースを使ったグループワークと、

実際に話を聴くロールプレイも取り入れました。

ラインケアというと、

不調のサインを見つけることや、

不調者への対応方法を学ぶことだと思われがちです。

もちろん、それも大切です。

しかし私は、

不調が起きてからの対応だけでなく、

普段からどんな関係性をつくっておくかが、

同じくらい大切だと考えています。

「何かあったら相談してね」

そう伝えている上司は、きっと多いはずです。

それでも、部下が相談できるとは限りません。

「相談していいよ」と言われていることと、

「この人になら相談しても大丈夫」と感じられることは、

別だからです。

管理職も、部下との関わりに悩んでいる

研修では、部下への声かけや、話を聴くときの難しさも取り上げました。

管理職の方から、こんな声を聞くことがあります。

「部下が黙ってしまうと、怖いんです」

とてもよくわかります。

-声をかけたのに何も話してくれない。

-何を考えているのかわからない。

-自分の聞き方が悪かったのだろうか。

-何か言ってあげなければいけないのだろうか。

上司の側も、不安になるものです。

そして、力になりたいと思うからこそ、

質問を重ねたり、

励ましたり、

アドバイスをしたくなります。

ただ、その善意が、相手の安心につながるとは限りません。

研修では、こうした管理職自身の不安にも目を向けました。

私は、管理職の皆さんに「もっと頑張ってほしい」と言いたいわけではありません。

むしろ、すでに十分頑張っている方が多いと感じています。

部下を大切にしたい、力になりたいと思っているからこそ、悩むのです。

管理職が、一人で何とかしようとしなくてもいい

研修の中で、こんな言葉をお伝えしました。

一緒に悩むのも力になります

相談を受けると、答えを出さなければと思いがちです。

上司なのだから

解決策を示さなければ、

部下の本音を引き出さなければ、

と。

けれども、本人でさえ、自分の本当の気持ちがわかっていないことがあります。

プロの心理職でも、人の本音を理解するのは簡単ではありません。

ですから、管理職が部下の本音を引き出す必要はないのです。

管理職がすべての問題を一人で解決する必要はありません。

職場で一緒に考えられることもあれば、産業医や保健師などの専門職の力が必要なこともあります。

大切なのは、部下を一人で抱え込ませないことと同じくらい、

管理職自身も一人で抱え込まず、必要なときには周囲を頼れることです。

部下を大切にするために、まず自分を大切にする

研修の最後に、管理職の皆さんにお伝えしたのは、

自分自身を承認すること(自分の頑張りや存在を認めること)の大切さです。

「部下のよいところを見つけよう」

「頑張っていることを認めよう」

部下への承認の大切さは、よく語られます。

では、管理職自身はどうでしょうか。

成果を求められ、

部下の育成に責任を持ち、

さまざまな問題に対応している。

それなのに、自分の頑張りを認める機会は、意外と少ないのではないでしょうか。

だからこそ、

まずは自分自身に、

「よくがんばっているね」

と言葉をかけてほしいです。

部下を大切にすることと、

自分を大切にすることは、

別々のことではありません。

自分にも少しやさしいまなざしを向けることで、

周囲の人との関わり方も変わっていくと思います。

小さな関わりが、相談できる職場をつくる

研修では、

日頃の挨拶や感謝、承認、

ちょっとした声かけ、

定期的な1on1にも触れました。

どれも特別に難しいことではありません。

しかし、忙しい毎日の中では、つい後回しになりがちです。

相談できる職場は、大きな取り組みを一つ実施すれば完成するものではありません。

毎日の小さな関わりが積み重なって、少しずつ育っていくものです。

そして、その関係性は部下のためだけのものではありません。

上司も部下も、困ったときには誰かを頼っていい。

一人で何とかしなくてもいい。

そんな職場が増えていくことを願っています。

今回の研修が、皆さんの職場での小さな対話や声かけにつながれば幸いです。

研修を企画・運営してくださった皆さま、ご参加くださった皆さま、ありがとうございました🍀