こんにちは。
アドラー×ゲシュタルトをベースに心の学びをお伝えする
“はたらく人の自己受容のためのサポーター” 上谷実礼です。
40代からの転職を成功させるために
このテーマについては数年前にもブログに書いていました。
最近、この記事を思い出すような事例に何度か対応しているので、
改めて書いてみようと思います。
16年間の産業医の経験の中で、中途入社された方のメンタル不調には数多く対応しています。
若い頃の転職と違って、当然、即戦力になることを期待されて入社される方が多いです。
でも、職歴が素晴らしかったり、鳴り物入りで入社される方の方が
意外とつまずいちゃったりすることがあるんですよね。
転職ではないのですが、似たような事例については
緑の本の事例8にも書いています。
【事例8:店長として赴任してきたが、スタッフが言うことを聞かない】
周囲の期待を背負って入社した方であればあるほど、
「現状を変えねばならぬ!」と意気込むんですよね。
「変えた方がいい」というメッセージはたとえそれが正論であっても、
元からいるメンバーにとっては「今までやってきたことのダメ出し」に
受け取られる可能性が高いということは肝に銘じた方がいいでしょう。
新しい環境で意気込めば意気込むほど、周囲からそっぽを向かれるということが起こるかもしれません。
特に日本人はフラットにシンプルに意見を交換するということや
違いを認めるということに慣れていないですから、
自分と違う意見の人に対して「間違っている人」と認識してしまったり、
自分と違う考えを提示された時に「自分の考えが間違っていると言われている」
というように曲解して受け取る人がとっても多いと感じます。
ただ単に違いがあるだけなのに、
すぐに正誤とか優劣とかの問題にすり替わっちゃうんですよね。
社会的な動物である私たちには所属が必要です。
自分には居場所があると感じられるかどうかは死活問題に関わります。
すると、こんなことが起こります。
急に新しくやってきた人に今までのやり方を変えろと言われる
⇒今まで自分達がやってきたことのダメ出しに感じる
⇒組織での所属が脅かされるように感じる
⇒命の危険!のように感じて新しくやってきた人に反発する
このプロセスはもちろん明確には意識されませんが、
だいたい、こういう感じで人間関係の揉め事が起こっていきます。
人は基本的には変化を好まない生き物です。
もしも転職後に新しい環境にスムーズに適応し、
力を発揮していきたいと思うのならば、
まずはこれまでのやり方や元からいるメンバーを理解することから始めましょう。
「あなたが入ってくれて、どんどん新しいことに取り組んでくれることを期待している」
とどんなに口では言っていても、人は変化を恐れるものであること、
変化に伴って所属が脅かされるように感じるかもしれない人もいることは念頭に置いておいた方がいいでよう。
(残念ながら、「変化を起こして欲しい」と言って新しい人を採用しながら、
実際に変化を起こそうとすると抵抗する経営者も何人か見てきました…)
人を理解する、とは相手の話を聴くということです。
私が見聞きするキャリア採用枠での転職がうまくいっている方は、
よく相手の話を聴いて、急に自分のやり方や考え方を押しつけない
という方が多いです。
違いがあるのは当たり前なのですから、
違いを楽しむ、ぐらいの軽やかさでぼちぼち新しい環境に馴染んでいきましょう。