部下の気づきを促すコツ

いわゆる産業医面談では人事パーソンに同席してもらうことが多いのですが、先月の出張に初めて同行してくれた人事パーソンが、私の面談を横で聴いていてとっても勉強になったと驚いていました。

話の流れでエンプティチェアのワークもしたので、ビックリされたのだと思いますが、ほとんどは普通の対話だけをしました。

彼はこんなことを言っていました。

「先生はなにかを解決しようとしていないのに、みんなスッキリした顔で元気になって帰っていく」

「解決しようとしなくていいんだというのが衝撃でした」

「先生はほとんど話していなくて口数少ないのに、みんなどんどん気づいていく」

たしかに、産業医として面談するときとは違って、上司として部下の話を聴くときは「課題を解決しなくては」という力動が働きやすいかもしれませんが、よく話を聞いてみると「課題を解決しなくては」というのは上司の思い込みにすぎなくて実は具体的な課題を解決しないといけないことって意外と少ないと思います。

もちろん、上司として業務上で必要最低限の課題解決はした上での話ですが、部下が悩んでいたりモヤモヤしていたりすることって、簡単に解決できるようなことではないから悩んでいるわけです。

人は話をしながら頭の整理をしたり、自分のホンネに気づいたり、気持ちが落ち着いたり、実は悩むようなことではなかったと気づいたりしていくので、多くのケースでは簡単にアドバイスしようとしたり、結論を出そうとしたりしないで受容、共感的に聴いていれば「話を聴いてもらった」という部下の満足度は高くなります。

話を聴くときのテクニック的なこととしては、相づちとかうなずきとかオウム返しとか伝え返しとかいろいろありますが、私がよく言う一言は「話してみてどう感じた?」かな、と思います。

一般的な会話だと、

部下が話す⇒(部下の話を受けて)上司が話す⇒部下が話す・・・

のようにテニスのラリーのように順番に話す感じになることが多いでしょう。

私は、

社員さんが話す⇒(そのまま続けて話さないで)「今、話してみてどう感じましたか?」と問いかける⇒社員さんが話していて気づいたことについて話す・・・

というように、簡単にラリーにもっていかないで、社員さんに話してもらうように関わります。

部下が話す⇒(部下の話を受けて)上司が話す⇒部下が話す・・・

とラリーしてしまうと、思考を使った浅いレベルで話が進んでいきますが、「今、話してみてどう感じましたか?」と問いかけることで、自分の内側にベクトルが向くので気づきや内省が深まる方向に話が進みやすくなります。

ちょっとしたコツですが、面談がずいぶん変わると思いますので参考にしてみてください!