努力は熱狂に勝てない


朝ドラ「らんまん」が終わってしまいましたー。

朝ドラは毎回見ているわけではないのですが、

というよりほとんど見ないのですが、

今クールはたまたま知人で視聴している方が多くて

見始めたらすっかりハマってしまって最終回まで夢中になって見ました。

朝の忙しい時間帯、さすがにリアルタイムでは難しいので、

録画を何回か分まとめて1.3倍速で見るのですが、

最終週は倍速にせずに正座して味わいながら見ましたw


久しぶりに男性が主人公になった「らんまん」

江戸時代末期から昭和の激動の時代を生き、

「日本の植物分類学の父」と呼ばれる植物学者牧野富太郎博士をモデルにしたフィクションです。

子どもの頃から植物が好きで、小学校も中退したにもかかわらず

「植物が好き」という熱意を原動力に多数の新種を発見し、

植物学図鑑まで完成させた牧野博士の冒険人生は、

波乱万丈という言葉では表現しきれないほどに激動の生涯でした。

神木隆之介さん演じる主人公槙野万太郎の他、登場人物はみな魅力的で、

どの自分の様子やセリフの中にも「あぁ、この感情は私の中にもあるなぁ」と感じられることが多く、

セラピストとしてもとても学びが多かったのですが、

個人的に特に印象深かったのは要潤さん演じる東京大学植物学教室初代教授の田邊彰久博士でした。

物語の中盤ぐらいまでしか登場機会はなかったものの重要人物として描かれており、

最終回まで見ても、やっぱり田邊教授が一番印象的な登場人物だったなぁと思います。


田邊教授は、恐らく計り知れないほどの努力をして日本で植物学という学問を切り開いてきたのに、

小学校も中退したような学歴もない槙野万太郎が道場破りのように急に教室にやってきて、

出会ってすぐに植物学者としての桁違いの実力や植物画の画力をまざまざと見せつけられ、

さらには同じ場所に植物採集旅行に出かけても

自分は見つけられなかったような植物をいとも簡単に採集してくる万太郎に対して

単に嫉妬とは表現できないほどの複雑な心境を抱きます。


要潤さんの演技力と長田育恵さんの脚本が素晴らしかったことも影響しているのでしょう。

田邊教授の思考や感情は私の中にも、きっと多くの人の中にもあるだろうとリアルに感じられて、

こころがザラザラ、ザワザワ、チクチクしました。

そう、努力は熱狂に勝てないのです。

(この言葉は元々ある編集者の言葉がオリジナルになっているそうですが、たくさんの人からよく聞くフレーズです)

おそらく田邊教授も植物への興味がゼロではなかったのでしょうが、

それよりも名誉欲や承認欲求などの方が原動力としては大きかったと思われます。

名誉欲や承認欲求、金銭への欲求などを原動力にどんなに努力を積み重ねても、

ただただ「植物が好き」という熱狂とも呼べる熱意と情熱を原動力にしている

万太郎には絶対に勝てないのです。

なぜなら万太郎は自分が苦しい努力をしているなんて微塵も感じずに、

無心に大好きな植物に向き合い、ひたすら極めているだけなので、

自分が努力をしているとすら感じていないからです。

自分は努力を積み重ねている、がんばっている、一生懸命にやっていると感じた時点で、

もしかするとそれは本当に自分が好きなこと、やりたいことではないのかもしれません。


カウンセリングでも

「自分のやりたいことが分からない」

「自分の好きなことが分からない」

という主訴は多いです。

自分の好きなこと、熱狂できることがひとつでも見つかったら

自分の人生を生きているという感覚が持てるようになるし、人生は幸せな気がします。

好きなこと、夢中になれることがあるのなら、

すぐに「これは仕事になるのか?」などと思考や損得勘定で考えずに

一途に情熱的に突き進んでいくことの大切さを朝ドラから学びました。


今日の投稿は「らんまん」を見ていない人には知らんがな、だったかもしれませんw

今はだいぶおさまっていますが、若い頃はもっとオタク気質で

自分の好きなマンガを友達に押し売りならぬ押し貸ししまくっていた頃の

私のオタク時代の片鱗が少し現れた投稿に最後までお付き合いいただき、ありがとうございましたm(_ _)m