親に感謝できなくてもいいんだよ

こんにちは。

アドラー×ゲシュタルトをベースに心の学びをお伝えする

“はたらく人の自己受容と自己理解のためのサポーター” 上谷実礼です。

親に感謝できなくてもいいんだよ

昨日は世間的には「母の日」でしたね。

「お母さん、ありがとう」という言葉が町にあふれていました。

 

こういうフレーズを見るたびに

「感謝って人に言われてするもんじゃないよね~」

「世の中には、とても感謝したくないような親だっているんだよ~

という思いが浮かんでしまいます…。

 

いや、別にいいんですよ。

私も遠くに離れて住む母にお花を送りましたよ。

母からも御礼のLINEがきましたよ。

でも日頃から折に触れて感謝の気持ちは伝えるようにしていますし

わざわざ「母の日だから、お母さんに感謝ね!」みたいに

押しつけられるのはちょっと気持ち悪いなと感じます。

振り返ってみると、こんな風に素直に感謝の気持ちを込めて

母にお花を贈れるようになったり、

普段から感謝を伝えられるようになったのは、

本当にここ数年のことです。

 

子どもの頃から特に母に対しては

「好きだけど、嫌い」

「近づきたいけど、近づいてきて欲しくない」

「頼りたいけど、私を頼らないで欲しい」

「愛されたいけど、口が裂けてもそんなことは言えない」

みたいなアンビバレントな思いを抱いていましたし、

私が生きづらいのは親のせい、生育環境のせいだと

心の奥底にはずっと親を責める気持ちがありました。

 

でも表面的には

「親には親なりの事情があったから仕方ない」とか

「親もまたその親に愛されなかったんだ」とか

「親もその時には力を尽くしたのだから理解してあげないと」みたいに

理解のあるいい子ちゃんぶったり

「子どもの頃から苦労してきたからこそ今の私があるのだ」と

やたらと苦労礼賛方向に意味づけて自分に言い聞かせたりしていました。

 

−−

個人セッションや産業医面談でお話を伺っていくと、

ほとんどのケースで悩みの根っこは親子関係に行き着きます。

(私の場合は産業医面談でもしばしば生育環境の話まで伺います)

皆さんのお話を聞いていると、

「それは本当にヒドい親だな!」

「それってある意味、虐待だよね!?」

そんな風に育てられたら子どもが大人になって生きづらいのは仕方ないよ…」

と思わざるを得ないケースがかなりあります。

「虐待」とは言わないまでも、

冗談ぽく子どもの容姿のことをからかうとか、

子どもの交友関係に口を出すとか、

きょうだい間で比較するとか、

子どもが将来に希望を持てないような否定的な発言を繰り返すなどの、

「不適切な養育(マルトリートメント)」と呼ばれるような関わりをされてきた方は

驚くほどに多いです。

マルトリートメントについては近いうちに別記事で書くつもりです

というよりむしろ、本当に人間的、精神的に成熟した親が

健全に子育てをしている、というケースの方が希でしょう。

 

どんな子どもも親のことが大好きなのです。

たとえ未熟で不適切な養育をする親であっても、

なんとかして親から好かれたい、親に受け入れてもらいたいと思っているのです。

親のことを嫌ってはいけないと言い聞かせているのです。

 

でも、現実的には親のことが好きになれないのです。

親からされることが不快なのです。

そして、親のことを好きだと思えない自分をダメだと責めるのです。

 

頭で言い聞かせていることと自分が実際に感じていることが矛盾していたら混乱するよね。

混乱しながらも子どもは親がいないと生きていけないから、

生存のために「自分が感じていることは間違っているのだ」と

自分が感じていることを全力で抑圧しようとするよね。

そうこうしているうちに、

自分が感じていることが分からない、感じられない、ようになっていきます。

自分が感じていることを否定することは“自己否定”の始まりです。

 

 

自分が感じていることにいいも悪いもありません。

自分が感じていることが自分にとっての真実なのです。

自分とつながる、自己受容していくためには

まずは自分が感じていることを

「私はこう感じているんだね」と、ノンジャッジに受け止めてあげることがスタートです。

 

 

自分のことを丸ごと受け入れられるようになって初めて、

自己否定を手放して初めて、

「自分は自分のままでいいんだな」

「自分が生まれてきたことに意味があったな」

と感じられるようになります。

こんな風に思えるからこそ

「私を産み育ててくれた親に感謝だな」という気持ちが自然に湧き上がってくるのです。

 

自分のことを丸ごと受け入れられるようになって初めて、

自己否定を手放して初めて、

「親には親なりの事情があったから仕方ない」とか

「親もまたその親に愛されなかったんだ」とか

「親もその時には力を尽くしたのだから理解してあげないと」みたいに理解できるようになるのです。

 

「母の日だからお母さんに感謝しましょう!」みたいなのは順番が逆なのです。

 

親のことが嫌いだ。

親の言動がムカつく。

親の一言にめっちゃ傷ついた。

親だけどどうしても好きになれない。

 

自分の中のこんな感情をまずはノンジャッジで受け止めてあげること。

そして親のことが好きになれないなら、

親と精神的・物理的に距離を取ってもいいのです。

母の日にお花を贈らない選択をしてもいいのです。

 

そのままの自分のことを受け入れ、好きだと感じられるようになったら

他の人のこともそのままに受け入れ、好きだと感じられるようになります。

親を好きになろうと努力するよりも、

まずは自分のことを好きになってあげてね。

 

 

以前、こんなのも書いてます。

よかったらどうぞ。

『親からも逃げていい』

 

コメントを残す