【研修報告】若手社員が「相談できない」「抱え込む」のはなぜ? 頼る力を育てるメンタルヘルスケ研修レポート

わからないことを聞いたら、

仕事ができないと思われるかもしれない

——そんな不安はありませんか。

先日、入社して数年の若手社員さん・キャリア採用社員さんを対象に、

うまく頼るスキル」をテーマにした研修を行いました。

会場へ向かう道すがら、

大きな風車が並ぶ景色に出会い、

思わず写真を撮ってしまいました。

そんな少し非日常的な空間で、

皆さんと「うまく頼る」ことについて考えてきました。

この記事では、

若手社員が相談できず抱え込んでしまう心理的な理由と、

研修で実際にお伝えした「頼る力」の育て方を、

当日の様子とあわせてご紹介します。

入社数年目に押し寄せる「わからない」の正体

新しい職場に入ると、
私たちは思っている以上に多くの
「わからない」に出会います。

  • 仕事の進め方
  • どこまで自分で判断していいのか
  • 何をもって「できている」と評価されるのか
  • 職場の暗黙のルール
  • 上司や先輩との距離感
  • 困ったときに、誰に声をかければいいのか

新卒入社の場合、
働くこと自体が初めての経験です。

一方でキャリア採用の場合は、
「前の会社ではこうだったが、ここでは違う」という
別の難しさを抱えています。

今回の研修では、
この入社後数年間を

「仕事を覚えながら、人や組織にも適応していく時期」

と位置づけました。

ここで大切なのは、

うまく適応できないのを
「その人が弱いから」と考えないことです。

新しい環境に入ると、
心も体も自然と警戒モードに入ります。

「ここでは、どう振る舞えばいいんだろう」

「これで合っているのかな」

と慎重になるのは、
自分を守るための自然な反応なのです。

「組織になじむ」は、自分を消すことではない

研修をつくる中で、あらためて考え直した言葉があります。
それが「組織になじむ」です。

この言葉は、ともすると次のような意味に受け取られがちです。

  • 会社のやり方に自分を合わせる
  • 周囲と同じように振る舞う
  • 早く「会社の人」になる

しかし、今回お伝えしたかったのはそういうことではありません。

研修では「組織になじむ」を、

今回の定義
職場のルールや人間関係を理解し、
自分との接点をつくること

と定義しました。

自分を消して会社に合わせるのではなく、

  • 「ここでは、こんなふうに仕事をするんだな」
  • 「困ったときは、この人に聞けばいいんだな」
  • 「ここなら、こんな自分も出して大丈夫そうだな」

と、少しずつ自分と職場との接点を見つけていく。
そうやって人や組織とのつながりをつくっていくことも、
「なじむ」ということだと思います。

つらいときほど、人は頼れなくなる

仕事が大変になってくると、
私たちはむしろ人に頼りにくくなります。

こんなことを聞いたら、仕事ができないと思われるかも
前にも教えてもらったから、もう聞けない
みんな忙しそうだから、自分でなんとかしよう
これくらいで弱音を吐いてはいけない

こう考えて、ひとりで抱え込んでしまう。 これは単に、その人が「人に頼るのが苦手」だからとは限りません。

ストレスが高まると、心と体は
危険から自分を守ろうとする状態 になります。
すると必要以上に頑張り続けたり、
逆に頭が真っ白になって動けなくなったりします。
視野も狭くなり、
本当は助けてくれる人が周りにいても、
その存在に気づけなくなることさえあるのです。

つまり——

「頼れない人」なのではなく、
「頼りにくい状態」になっている。

この視点を持つことこそ、
今回の研修でお伝えしたかったことのひとつです。

「頼る」は、練習できる仕事のスキル

そしてもうひとつお伝えしたのが、

「頼ることは、性格ではなくスキルだ」

ということです。「私は人に頼るのが苦手だから」と諦める必要はありません。

研修では、頼り方を次の3つに分けて具体的に考えてもらいました。

1. 誰に頼る?
2. 何を頼る?
3. どう伝える?

たとえば、こんなフレーズです。

「いま○○で困っています」 (状況を伝える)
「△△について確認したいです」 (相談したいことを伝える)
「今、少しお話できますか?」 (相手のタイミングを確認する)

「頼る」を具体的な行動に分解すると、
少しやりやすくなります。
さらに2人1組になり、
「相談する人」
「相談を受ける人」
の役割を交代しながら、
実際に相談するロールプレイ(役割を演じながら行う実践練習)も行いました。

研修が進むにつれ、会話が生まれていった

研修が始まったばかりの頃は、
参加者同士の会話も控えめでした。
周囲の様子をうかがいながら
参加している雰囲気もありました。

けれど、個人ワークやグループワークを重ねるうちに、
少しずつ会話が増えていきます。
後半になると、あちこちでやり取りが生まれ、
皆さんがずいぶん活発に話す様子が見られました。

その光景を見ながら、
「頼る」というのは、
困り果てたときに
突然するものではないのかもしれない、
と感じました。
  • 普段からちょっと話す。
  • わからないことを聞いてみる。
  • 相手の話も聞いてみる。
そうした小さなやり取りの積み重ねが、
「ここなら話しても大丈夫」
という感覚につながっていくのだと思います。

「一人前」の再定義——頼ることはチームへの貢献

私たちはいつの間にか、

「一人前になる=人に迷惑をかけず、自分のことは自分でできるようになること」

と考えがちです。

もちろん、自分で考え、
できることを増やしていくのは大切です。 ただ、仕事はひとりでは完結しません。

  • わからないことを確認する
  • 得意な人に力を借りる
  • 必要なときには助けを求める
  • 自分が力になれるときには、誰かを助ける

こうしてお互いの力を使いながら仕事を進めることも、
「一人前」の大切な力ではないでしょうか。

うまく頼ることは、チームへの貢献でもある

——そんなことも、今回の研修ではお伝えしました。

抱えないことは、弱さではない

今回の研修の最後にお伝えしたのは、

「抱えないことは、弱さではない。技術です」
気づく
頼る
つながる

全部をひとりでできるようになることだけが、
自立ではありません。

自分がしんどくなっていることに気づき、
必要なときには誰かの力を借りる。
そして人とのつながりの中で、自分の力を発揮していく。

そして、若手社員が「頼る力」を身につけることと同じくらい、

職場に「頼っても大丈夫」と思える関係や環境があることも大切 です。

「困ったら相談してね」と伝えるだけではなく、

  • 日頃からちょっと話せる、
  • わからないと言える、
  • 助けを求められる。

そんな関係を職場の中につくっていく。

それもまた、一人ひとりを大切にしながら、
チームとして力を発揮するために必要なことなのだと思います。