
「変わりたい」と話しているのに、なかなか行動につながらない。

1on1で質問をしても、相手の本音が見えてこない。

良かれと思って助言したのに、かえって距離ができてしまった。
管理職や人事担当者、産業保健職、医療職、教員など、
人と向き合う仕事をしていると、
このような難しさを感じることがあります。
面談がうまくいかないと、
- 質問の仕方が悪かったのだろうか
- もっと傾聴のスキルを身につけた方がいいのではないか
- 面談の進め方に問題があるのかもしれない
と、技法に原因を求めたくなるものです。
もちろん、面談のコツやスキルを学ぶことは大切です。
しかし、
面談の成否を左右するのは、
技法だけではありません。
相手をどのような存在として見ているか。
その「まなざし」が、
傾聴や質問など、
すべての技法の土台になります。
この記事では、
そうした悩みに応えるために生まれた「全肯定面談」という考え方と、
面談がうまくいかない本当の理由をお伝えします。
「面談」がない仕事は、ほとんどない
「面談」と聞くと、
どのような場面を思い浮かべるでしょうか。
管理職の1on1や人事面談・就職面接を
イメージする方が多いかもしれません。
一方で、
「自分の仕事には面談は関係ない」
と感じる方もいるでしょう。
しかし実際には…
人と関わる仕事には、
それぞれの「面談」があります
管理職や人事担当者
社員と対話する
保健師
保健指導を行う
産業医
社員と面接する
医療職
患者さんと向き合う
教員
生徒や保護者と話す
支援職
相談者の話を聴く
このように、
人と関わる仕事であれば、
面談がない仕事はほとんどありません。
だからこそ面談は、
一部の専門職だけが学ぶ技術ではなく、
人と関わるすべての人に必要な力になってきています。
『全肯定保健指導』から『全肯定面談』へ
『全肯定保健指導®』は、
保健指導の現場で培ってきた
面談技法や考え方を体系化したものです。
全肯定保健指導の関連記事です
産業医として面談を重ね、
企業や支援職への研修を続ける中で、
あることに気づきました。
管理職も、
人事担当者も、
教員も、
医療職も、
相談支援職も
——扱うテーマは違っても、
抱えている悩みには、多くの共通点があったのです。
- 「変わりたい」と話しているのに行動変容につながらず、どう関わればよいかわからない
- 話があちこちに広がり、限られた時間の中で面談をどう進めればよいかわからない
- 良かれと思って伝えたことが、なぜか相手に届かない
- 傾聴しているつもりでも、本音を話してもらえない
- 1on1が報告や確認だけで終わってしまう
人と向き合う本質は、
職種を超えて共通しています。
そこで「全肯定保健指導®」という枠を超え、
あらゆる対人支援やマネジメント、教育、医療など、
幅広い場面で活用できるよう考え方を広げたものが
「全肯定面談」です。
面談がうまくいかない本当の理由
スキルだけでは「話しやすい人」になれない理由
面談力を高めようとすると、
多くの人はこれらの技法まずを学びます。
傾聴力
相手の言葉や気持ちに
丁寧に耳を傾ける力
質問力
相手の気づきや考えを
引き出す問いを届ける力
共感力
相手の立場や感情を
理解しようとする力
伝達力
必要な情報や考えを
わかりやすく伝える力
フィードバック
スキル
気づきや改善につながる
情報を相手に返す力
承認スキル
相手の存在や努力、変化を
言葉にして認める力
これらはもちろん大切です。
全肯定面談でも、
これらを体系的に学び、
実践できるよう丁寧にトレーニングします。
しかし、
同じ技法を使っていても、
「この人には自然と話せる、話したい!」
「この人には話せない、話したくない…」
と感じた経験はないでしょうか。
その違いは、技法だけでは説明できません。
面談の進め方を変える「まなざし」とは
私たちが最も大切にしているのは、
技法が生きる土台となる「まなざし」です。
| まなざしの違い | 相手への見方 |
| 問題解決 | 「問題のある人」「変わるべき人」として見る |
| 全肯定 | 「その人なりの理由があって今ここにいる人」として見る |
この違いは、言葉の選び方だけでなく、
表情・間の取り方・場の空気感にまで表れます。
面談の進め方以上に、
「相手をどう見ているか」
が相手に伝わっているのです。
『全肯定』の誤解——何でも肯定することではない
「全肯定」という言葉を聞いて、
こんな疑問を持たれたかもしれません。
何をしても肯定することですか?
注意や指導はしないのですか?
答えは、違います。
例えば職場では、
次のような問題について、
必要な指導を行わなければならない場面があります。
- ハラスメント
- 安全ルール違反
- 遅刻や勤務態度
- 部下への不適切な対応
必要な指導をしないことは、
本人の成長にも、
組織にとっても望ましいことではありません。
全肯定とは、
相手を変えよう・評価しようとするのではなく、
その人が今そうなっている背景・感情・価値観・人生を丸ごと理解し尊重しようとする姿勢です。
そして、相手が自分自身への理解を深め、自分の気持ちや考えに沿った選択ができるよう支援します。
行動の改善は求める。しかし、その人の存在や人格は否定しない。
「なぜこの行動が起きたのだろう」「どんな背景があるのだろう」と理解しようとしながら、これからどうしていくかを一緒に考えていく
——これが全肯定面談の核心です。
面談は、相手だけを変える技術ではない
もし、あなた自身も、面談を通して変わっていくと言われたらどうでしょうか。
全肯定面談は、
相手を変えるためのテクニックではありません。
もちろん、
面談を通して
相手に行動変容が起きることはあります。
しかし同時に、
面談をする側もまた変わっていきます。
こうした関わり方の変化が起きると、
相手との関係だけでなく、
自分自身との関係も少しずつ変わり始めます。
私自身、20年以上にわたり
産業医として多くの方と面談を行ってきました。
その中で確信しているのは、
「人は、誰かに理解しようとしてもらう経験を通して、自分自身を理解する力も育てていく」
ということです。
だから全肯定面談は、
相手を支援するだけでなく、
支援する人自身の成長にもつながります。
その結果、
支援者自身に余裕が生まれ、その余裕が、
相手にとって安心して話せる関係を育てていくのです。
これからの時代に必要なのは、「人を変える面談」ではなく、「人を理解する面談」
AIが進歩し、
多くの仕事が効率化される時代になりました。
一方で、
人と人が信頼関係を築くことの価値は、
これまで以上に高まっています。
だからこそ、
これから求められるのは、
「正しいことを伝える面談」ではなく、
「この人なら安心して話せる」と思ってもらえる面談です。
そのために大切なのは、
どのようなまなざしで相手と向き合うか。
全肯定面談は、
その土台となるマインドと、
現場で実践できる具体的なスキルの両方を学ぶための体系です。
人と向き合う仕事に携わるすべての方へ
――あなたの面談が、相手にとって「安心して話せる時間」になることを願っています。
お知らせ
2026年9月より、「全肯定面談 3DAYSワークショップ」を開催します。

管理職、人事担当者、保健師、医療職、教員、相談支援職など、
仕事の中で面談に携わる方を対象に、
全肯定面談の考え方と実践を、
少人数でじっくり学んでいただくプログラムです。
講義を聴いて理解するだけではありません。
対面での面談練習やフィードバック、
自主トレーニング用AIを活用した反復練習を通して、
全肯定面談を「知っている」状態から
「実際にできる」状態へ進めることを目指します。
- 傾聴を学んでも、実際の面談ではうまく使えない
- 1on1が報告や確認だけで終わってしまう
- 相手の行動変容につながる関わり方を身につけたい
- 面談の進め方に自信を持ちたい
そのような方は、ぜひ開催概要をご覧ください。
※「全肯定保健指導®」はヒューマンハピネス株式会社の登録商標です。
